ある日、病になりました

ある日突然

朝起きてトイレに行こうとすると、急に膝が折れて手を床についてしまい、おかしいなと思いました。

「風邪やインフルエンザで膝にくることもあると聞いたことがあるし、今日は日曜日で病院もやっていない。一日寝ればきっとよくなるだろう」そう思ってベッドで休みました。

しかし、翌朝になってもよくなるばかりか、ますます膝折れはひどくなっていました。注意して歩かないと倒れてしまいそうです。

お尻をつきながら玄関前の段差を下り、倒れこむようにしてタクシーに乗り込むと、かかりつけの病院に急ぎました。

やっとの思いで診察を受けると、大学病院で詳しい検査が必要ということになり、いつ膝折れして倒れておかしくないことに冷や汗をかきながら、必死の思いでタクシーを呼びました。

大学病院に着く頃には、もう歩くこともままならず、タクシーの運転手さんに助けてもらいながら生まれて初めて車椅子に乗り、受付までこいでいきました。

どんどん悪くなっていく体調に耐えながらじっと診察を待っての検査後、よっぽど事態が切迫していたのか、診てくれた先生も救急車に同乗することになり、他の病院に緊急搬送されました。

さまざまな検査を受ける最中にも麻痺が進行していたのでしょう。筋力も弱ってしまい、トイレの便座に座わるのもやっとという自分の状態にびっくりしていました。先を見越してか、すぐさま膀胱にカテーテルが挿入されました。

一体私の体に何が起こっているのか、まったくわかりませんでした。ただ、何かとんでもないことが起きている、ということだけは身体と周りの状況からわかりました。

五体満足から一転した車椅子生活

一晩明けると、首から下がほとんど麻痺していて、ナースコールのボタンも押すことができないような寝たきりの状態になっていました。寝返りも打てません。

軽くタッチすることができるiPhoneのホームボタンでさえ押せない状況となり、どんなに動かそうとしても足はぴくりとも動きませんでした。

病名は自己免疫疾患のひとつ「ギラン・バレー症候群」でした。

本来は自分の身体の抗体がウイルスや細菌などの外部からの抗原を排除するところ、あやまって抗体が神経を攻撃してしまう病気です。

この病にはさまざまな症状がありますが、私の場合は運動神経が障害されたため、四肢の麻痺が起きたのでした。

当時を振り返ると、無人島の牢屋にでもひとり閉じ込められたようで、意識だけが頭の上に浮いているような不思議な感覚がしたのを覚えています。

この日から治療・入院生活は一年間に及びました。

そしてさらに、自立した生活をし、働くための訓練をする施設での生活は、十三ヶ月かかりました。

当時は、まだマウスをダブルクリックすることさえもあやうい状態で、復職にはほど遠く、また体力もなく、身の回りのことを自分でできるとは言えなかったからです。麻痺は緩やかによくなっていきましたが、現在も車椅子で生活をしています。

お伝えしたいこと

この間、今までに経験したことのない人生の困難をたくさん味わいましたが、今はこの出来事をギフト=天からの贈り物だと、清々しい気持ちで言えるようになりました。

では、どのようにしてそう言えるようになったのでしょうか?

このブログでは、私が経験したエピソードを交えながら、その真実とギフトへの変え方のちょっとしたアイディアなどをお伝えしていきたいと思っています。