思考法

恵みのタネは渦中に生まれている

当時は「本当に苦しかった」「大変だった」と感じていたことが、「あの経験がなかったら今の自分はいなかった」「あれが転機になって人生が変わった」と思うことはありませんか?
また、今ではその出来事に感謝の気持ちが出てくることはありませんか?
誰しも、一つや二つはすぐに思いつくものがあるのではないでしょうか。

実はその逆境や困難にいる「最中」に、恵みとなるタネは生まれていたのです。まさか、そんなことはないでしょう、と思いましたか?でも、そのまさかなのです。

このブログでは、どうしたら人生の困難や逆境の渦中の中で、意図的に恵みとなるタネを植え、あとからその実りを収穫できるのか、その方法とカラクリを紐解いていきます。

これを読み終える頃には、今ある困難な状況にもメリットがあることが本当の意味でわかるようになり、恵みのタネの発芽と収穫を予約することができるでしょう。必要な方には、そのプロセスを加速するワークも用意していますので、読み進めてみてくださいね。

病床での実験

これまでのブログで、療養中に「病のメリットを数え始めた」ことを何度か書きました。
これらのうちほとんどが、実は後になって現実になりました。その割合は、何と現時点(2019年3月)で87%にのぼっています。現実になった具体的な出来事がなければカウントしていないので、何となくそう感じているものも含めると、90%を超えます。

はたして、これらは何をせずとも必然的にやって来ることになっていたのでしょうか?それとも、メリットを数えたからやって来たのでしょうか?

その本当のことは分かりません。ただ確実に言えることは、メリットや恵みを数えたら、それを証明するかのように、「後から現実がやって来た」ということです。

それでは、それは本当に「後からやって来た」のでしょうか?

私はこう思います。「そう確信して数えた瞬間から、現実は変わり始めていた」のだと。
後から突然に変わったのではなく、数えたその瞬間に、「恵みのタネ」は生まれ、見えないところでこの世界に内包されていて、ずっと私に作用していたのだ、と思います。そしてある時、ベールが剥がされ、それが突如として現実に現れたのではないかと思うのです。

「恵みのタネ」実験のカラクリ

一般相対性理論を展開したアルバート・アインシュタインさんは、量子物理学を興したニールス・ボーアさんとの意見の食い違いから、
「では月は見るから存在するのかね。そんなことはない。月は私が見なくても存在する」
とボーアさんに問うたと言われています。

しかし、量子物理学の世界では、素粒子は観測されるまでは、ある確率をもった数学的な波動関数です。観測されてはじめて関数は崩壊し、特定の位置に粒子として観測されます。
つまり、観測されるまでは、ある確率を持った目には見えない波でしかなく、物質として存在していません。
だから量子論的に言えば、月は見るから存在する、ということに繋がります。

困難に隠されたメリットや恵みも同じこととは言えないでしょうか。

私が数えるまでは、デメリットもメリットも同じだけある、あらゆる可能性=確率がありました。そこで私が数えたことで「恵みのタネ」が生まれたのではないでしょうか。「メリットを見たから、在る」とも言えないでしょうか。

人は夢を描きます。そして中には、幼い頃に描いた夢をそのまま叶える人もいます。

同じ考えで言うならば、夢を描いた瞬間に、描いた世界のタネも生まれるのではないでしょうか。

近年、目覚ましい発展を遂げている宇宙論のひとつにマルチバース理論があります。
私たちの宇宙はちょっとずつ異なった無数にある宇宙の一つに過ぎないというものです。
そこでは
「私やあなたと同じような人間が存在するが身長がちょっと違っている宇宙、名前だけが異なっている宇宙、私が宝くじで10億円当たった宇宙、あなたが総理大臣になった宇宙(これらの異なった経験をした人間を私やあなたと呼べるならだが)、人間の性質がちょっと違った宇宙などが含まれる(1)」
のだそうです。
また、自分があらゆる選択をした時点で宇宙は分かれていき、それぞれが無限に存在しているというものです。
この説に則れば、私が病のメリットを数えたり、ある子供が夢を描いてから生み出される宇宙には、やがてやって来る叶う未来も当然含まれていることになります。

「考えが飛躍し過ぎている」と思われるかもしれませんね。

では、簡単な実験をしてみましょう。朝、赤の自動車を見ようと決めて家を出てみてください。
そこら中に赤の車を見かけるはずです。「こんなに道に溢れていたんだ」とびっくりするかもしれません。
これを「ただ注意力が増したせいだ」ということもできます。確かにそれもあるでしょう。
ですが肝心なのは、「赤の車を見よう」と決意しなければ、起こり得なかったということです。

つまり、「見ると決めたから見える」と言えないでしょうか。
だとすれば、「メリットを数えたから、(その宇宙が作り出される可能性が高まって)現実になる」とも言えることにならないでしょうか。メリット数えた時点で、そこに挙げた未来は、可能性の高い一つの宇宙として潜在的に含まれることになり、その描いた未来の方が今というスクリーンに向かって動き出して、私たちのもとにやって来る。そんなイメージなのかもしれません。

恵みのタネは今植えてしまおう

ところで、人生の困難やつらい状況の中で、それがもたらすネガティブなことに意識を向けることは、とても簡単ですよね。
思考も感情も流されるまま、状況に飲み込まれてしまえばいいからです。
そして翻弄されて疲れ果てて、感情も出し切って、やっと笑顔が戻ったとき、その中にあった恵みに気づくはずです。それに気づくことをずっと待っていたかのように。

それは本当に「待っていた」と言えないでしょうか。芽はすでに、植えられていたのです。

いずれ気づくことになるのであれば、恵みとなることを先に数えてしまうということもできるはずです。そうした選択もできるのです。
そしてその瞬間から、あなたの脳や潜在意識は、恵みにつながることにアンテナを張り、気づかせてくれるように働きかけてくれるでしょう。
また、恵みが叶っている宇宙を作り出すことにもなります。
恵みの芽は、幹や枝を伸ばし、やがて現実に恵みや幸せという花が咲きます。全てはあなたのために起こっているのです。

なぜここまで人生の困難や逆境の中でメリットを数えることにこだわるのかと言うと、
「病の経験を価値にできる」「病になった経験をもとに人にアドバイスできる」と
恵みを数えたお陰だからなのです。
アドバイスを求めてなんかないよ、という声も聞こえてきそうですが、私が病をギフトに変えることができたこの宇宙では、求められたと感じたのでお許しを(笑)。

そうです、あなたに向けて書いた他でもないこの文章によって、私が数えたことは実現してしまいました。あなたは私の「恵みのタネ」説の証人です。

そしてまた、あなたにもそれができるのです。しかも、紙とペン、そして向き合う少しの勇気さえあればいいのですから。

では準備はいいですか? 紙とペンを用意して、次の指示に従って書いてみてください。

  1. 過去の苦い経験や困難のうち、まだ笑えるようになっていないことを1つ挙げてください。そして、その経験がもたらしたメリット、恵み、ギフトを20個挙げてください。
  2. 人生の様々な領域で考えてみると、出しやすいかもしれません。(例えば、精神的な面、仕事やキャリア、人間関係、お金、健康、学び、喜びや娯楽、環境、貢献など)なかなか書けなくても、1つ書けたことですっと進むこともあるでしょう。必ずあなたは何かを受け取っていますので、信じて書ききってくださいね。
  3. 今度は、現在直面している困難や逆境のメリット、恵み、ギフトは何でしょうか?20個挙げてください。現在受け取っていること、未来に受け取るであろうこと、どちらでも構いません。これであなたの恵みの発芽と成就は予約されました!
  4. 日付を書いて何処かに保管しておきましょう。

いかがだったでしょうか?
ぜひワークをして、その後、書いたことを確認して検証してみてください。

まとめ

1. 恵みのタネは渦中に生まれています。

2. 恵みのタネを数えることで現実が後追いでやって来ます。

3. 渦中のメリットを先に挙げることで恵みの予約をすることができます。


(1)「マルチバース宇宙入門」(野村泰紀著、星海社新書)