ネガティブ・トークの女王
病のメッセージを受け取ってギフト思考が自分の中で浸透する道のりで、自分が以前とは変化していることに気づきました。それは、自分の頭の中で繰り広げられるネガティブな会話のやり取りが激減したということです。
人は、一日に数万回も頭の中で自分と会話しており、その80%はネガティブな内容が占めていて、しかもその会話のほとんどは昨日と同じ内容なのだそうです。そうやって知らぬ間に自分を小さく貶めて、傷つけてしまっています。
私も例に漏れず、そんなネガティブなトークがいつも頭の中で囁いていました。それはなぜか女性の口調で、特に横になっているときに、
「そんなんだからダメなのよ!」
などと私にダメ出しをしてへこませるので、自分の名前をもじった女性の名を冗談でつけたほどでした(笑)。家族にはそんなことを言われた記憶がないので不思議です。
オスカルだけに、ここでは「ベルサイユのばら」にあやかって、声の主をマリーとしましょう(笑)。
マリーは、とても厳しく私に当たりました。まるで、私の人生を逐一監視して、独自に作った「マリー法」の分厚い経典を片手に、次々に裁いていく私的裁判官です(笑)。
でも、彼女を雇ってしまったのは、私自身なので、歪んだ関係です。私はマリーの目論見どおり小さくなり、見返りに自己憐憫という悪魔の甘い汁をすすってしのいでいました。
そして病になり、ギフトと言えるようになったある日、ふと気づいたのです。
「あれ、最近(マリーの)声がしていないな」
と。逆に、
「大丈夫、きっとできるはず。できるわよ」
と温かく励ますような声の方が多くなっていました。マリーの声の質も変わり、とても穏やかで優しく別人、もはや昔の面影はありません。
そしてさらに、このような頭の中のおしゃべり自体が減っていることに気がつきました。
全体が減った分、時々現れるマリーの声が大きく明確に感じられることで、マリーの言うことがヒステリックで真実ではないことに気づき始めました。
ネガティブ・トークとの別れ
人は、一日の間に判断できる量に限りがあるということを、以前聞いたことがあります。だから午前中のうちに大切なことに時間を割いた方がいい、という話だったと思います。
もしネガティブな考えで思考が埋め尽くされていたら、それだけ早くエネルギーも消費され、判断できる量を減らすことにつながってしまいます。頭の中では、ネガティブな思考がぐるぐるとループしては振り出しに戻り、一向に前に進みません。
逆にノイズが減れば、余計なネガティブ・トークの嵐に悩まされずに行動に移すことができます。
また、集中力は増して、判断の精度は上がり、直観を活かしやすくなったり、スムーズにことが運ぶことが増えるので、心身も軽くなり、より重要なことを建設的に考えるエネルギーを確保することができます。
私が自分の変化の兆しに気づいたのは、ある夜、かなり疲れて帰ってきて玄関のドアノブに手をかけたときでした。遠くに見える川の土手にテールランプの赤く灯した車の列が見え、自分の頭の中にネガティブなトークや感情が現れてこないことに気づいたのです。
以前ならこのような場面で「何でこんなに疲れているんだろう」という考えとともに、暗闇に光る赤い灯火に寂しさや殺伐とした感覚がないまぜになった感情が襲って来たものです。
ですが、このときはテールランプをぼうっと温かく見守りながら「今日も一日ありがとう」という言葉がふっと自然に浮かんできたのです。
困難や逆境の中で、偶然の出会いや出来事によってピンチをチャンスに変える人は世の中にたくさんいます。そして、あなたにもそうした経験が少なからずあると思います。
そうした偶然の出会いや出来事に対して、ただの偶然で済まさずに、すぐ反応できるというのは、自己を批判するようなネガティブ・トークが少なく、余計な脳内のノイズが静まっているからなのでしょう、わずかな違いにも気づくはずです。
このようにネガティブ・トークに振り回されない状態を作ることが、ギフトに変える近道と言えそうです。
ネガティブ・トークとの付き合い方4つのステップ
では、具体的にどうやってネガティブ・トークを減らしていったらよいのでしょうか。私が経験した過程を振り返り、それを踏まえて考えてみたいと思います。これは私にとっても、実験的な試みです。
ステップ1
ネガティブ・トークを減らすには、まずそれをしている自分に気づくことから始まります。
マリーは、どのような場面で、どのような内容を、どのような口調で、よく言っているでしょう?記憶を丹念にたどって見つけて下さい。
ステップ2
次にネガティブ・トークの中身に気づいたら、その言葉の内容を紙に書いて下さい。
これであやふやで曖昧だったトークの全容が白日のもとにさらされました。観察という名の光を当てられると、マリーは、トークに隠された真実が暴かれるのを恐れ始めます。
ステップ3
マリーが私に囁いていたネガティブなことは、私が、自分に嫌悪感を抱いていた内容とうりふたつでした。マリーは、私が「ありのままの自分を愛する」という病のメッセージを得てから、どんどん出番が減っていったのです。
つまり、マリーが囁くことに対して、「そんな面があっても大丈夫、それが私」と自分のあるがままを認められるようになってから、マリーは去っていきました。
マリーは、私がありのままを好きになって欲しくて、かなり分かりにくい遠回しなやり方で、どこがまだ癒されていないのかを教えてくれていたのです。
では、どうしたらありのままの自分が好きになるのでしょうか?
私が「ありのまま自分を愛する」というメッセージを受け取るきっかけになったワークの一部を、マリー仕様に変えて、ご紹介しましょう。
それは、マリーがあなたに囁く内容について、
自分が嫌っている自身の性質や行動について、自分にとって一体どんなメリットがあるのか、できるだけたくさん数える
というものです。びっくりしましたか?
「えっ?デメリットしかあるわけないでしょう。なんでそんなことをしなくちゃいけないのですか?!」
そんな不満と不安の声が聞こえてきそうです。
けれども、残念ですが、それは物事の一面しか捉えていないからなのです。
恵のない危機はなく、危機のない恵みはない。必ず両面ある、というのが世界中で伝えられてきた格言であり、物理学も示唆するこの世界の仕組みです。
詳しくは、以前書いたブログを読んでみて下さい。
では、続きです。自分が嫌悪している面のデメリットと同じだけメリットがある、と腑に落ちるまで数えます。これ以上もう出せない、と思った時がちょうど半分くらいだと思ってやってみて下さい。
例えば、私にとっては「怠惰である」ことが嫌なことでした。
そのことでいる自分のメリットとは、
- 休息をとれる。
- ぼうっとして頭を休められる。
- 余裕を持てる。
- したかったことができる。
- 大切なことが何かわかる。
- 必要な時に力を出せる。
- 何が必要なことかがわかる。
などです。
1つのメリットから派生した二次的なメリットを出しても構いません。
「そんなことを認めるのは嫌だ、できない」と思うかもしれません。
けれども、そうするで、あなたは何かの恩恵を受けているはずなのです。恩恵ではなく、自分自身を守るためかもしれません。だからこれまでマリーを追い出さずに一緒にいたのです。
そして、あなたにとって必要なことをしていたのに、あなたは認めるどころか、蔑んでさえいたのです。それでマリーはヘソを曲げて怒っていたのです。
マリーは、あなたが嫌だと見ないようにしていた隠された自分のよき面を認めて、ありのままを受け止めて欲しかっただけなのです。
こんなふうに書くと、マリーと私の痴話喧嘩みたいですね(笑)。
ステップ4
最後に、マリーとの仲直りの印に、あなたが新生マリーに言って欲しいポジティブでしっくりくる言葉を作ってみましょう。
例えば、私の場合だと「私はありのままで完璧です」となります。
そして、またネガティブ・トークが始まったら、マリーには、「聞いていますよ。でもね、いい面もあってね。それはね…」という具合で接し、新しいポジティブな言葉をかけてあげて下さい。
いかがだったでしょうか?
ここで挙げたやり方以外に個人的に効果があったのは、瞑想やマスタリー・オブ・セルフラブのワークショップに参加することです。
病になってから瞑想(特に超越瞑想)に出会い、自分に起こった変化については、また別の機会に書きたいと思います。また、ワークショップのことも追い追い書いていきますので、楽しみにしていて下さい。